賃貸マンションに住み始めて、気がつけばもう20年。
いわゆるアラフィフの私たち夫婦に、突然「家を建てる」という計画が浮上しました。場所は、旦那さんの実家の敷地。まさかそんな話になるなんて、夢にも思っていませんでした。
最初はもちろん戸惑いのほうが大きくて、「今さら家づくり?」「同居ってこと?」と、心の中はザワザワ…でも、話を進めるうちに、「離れをリノベーションして義母さんが住む」「私たちは新築部分に住む」という案が出て、少しずつ現実味を帯びてきました。
それでも、気乗りしない私。正直なところ、家づくりって大変そうだし、センスも自信もないし…。けれど、SNSで見る今どきの家は、どれも工夫がいっぱい!
特に『家事ラク動線』や『暮らしやすい収納』を見るたびに、「こんな家ならいいかも」と少しずつ興味が湧いてきました。
そんな中、工務店さんから言われたのが「まずは家のコンセプトを決めましょう」という一言。
「100%希望を詰め込むのは難しいから、“○○風”のように軸を作ると迷わないですよ」と教えてくれました。たしかに、いろいろ詰め込みすぎるとまとまりがなくなりそう。
でも【コンセプト】と聞いても、なんだかピンとこない…和も洋も好きだけど、混ざると落ち着かない気もするし…。それでも、言われた通りに自分なりにイメージを膨らませてみました。
木のぬくもりを感じる家がいい。土間収納があって、靴やアウトドア用品をスッキリ置けると気持ちいい。リビングには吹き抜けがあって、家族の声がどこにいても届くような空間。オープンなキッチンに、収納たっぷりのパントリー。もし2階をつくるなら、急じゃない“ゆるめの階段”がいいな…
そんなふうに希望を並べていくうちに、ふと頭に浮かんだのが「山小屋」という言葉。木に囲まれた、ちょっと素朴で、でも温かみのある雰囲気。不便な山小屋では困るけれど、「暮らしやすくて家族を感じる山小屋風の家」なら、なんだかしっくりくる気がしました。
こうして少しずつ“わが家のコンセプト”が見えてくると、なんとなく心の中の霧が晴れていくようでした。コンセプトがあると、迷ったときに戻る場所ができる。
家づくりって、ただ間取りや設備を選ぶだけじゃなくて、「自分たちらしい暮らし方」を形にしていくことなんだと、少しわかった気がします。
それでも正直なところ、期待と不安のバランスはまだ「期待2:不安8」。見たこともない世界に足を踏み入れるような気分です。
でも、不安の中にも小さなワクワクがある。土間収納をどう使おう、吹き抜けの照明はどんな感じにしよう…気がつけば、頭の中は家のことでいっぱい。「注文住宅って、こういう感じなのか」と思いながら、少しずつ、私の中で“家づくり”が他人ごとから自分ごとへと変わっていくのを感じています。
最初は「乗り気じゃない」と思っていたのに、今では図面を見るたび、ちょっと楽しみになっている。きっとこの“少しのワクワク”が、これからの家づくりを支えてくれるんだろうな。
――戸惑いながらも、前に進むアラフィフの家づくり。私の“山小屋風の家”への道は、まだ始まったばかりです。
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