知らなかったでは済まされない、土地のリアルな現実

家づくりの話がようやく現実味を帯びてきた頃、思いもよらない『土地問題』が浮上しました。

きっかけは、旦那さんの実家の敷地内に家を建てるという計画。今ある母屋を半分リノベーションして義母さんたちの離れにし、もう半分を解体して私たちの新居を建てる、という案が進み始めたところでした。

離れとはいえ、将来的な独立性を考えて番地を分ける方向で進めていた私たち。その手続きのために敷地を調べてもらったところで、まさかの事実が判明します。

なんと、1軒の敷地に複数の番地が存在していたのです。昔からの土地はこういうことがあるとは聞いていたけれど、実際に自分の身に起きるとは…。

そこで改めて敷地を整理することになり、業者さんに精密なデジタル測量を依頼しました。

ところが、その測量結果を見てさらに衝撃。リノベーション予定の母屋の屋根の一部が、お隣の敷地に少しかかっていたのです。

「えっ、これって…屋根を壊さなきゃいけないの?」思わず言葉を失いました。

どうやら昔の測量は今ほど正確ではなく、当時の境界線が曖昧なまま家が建てられていたことも珍しくないそうです。しかし、それが何十年も放置されてきたとは驚きです。

さらに困ったことに、お隣さんとは以前からあまり関係が良くなく、「これは面倒なことになりそう…」と正直、頭を抱えました。でも、知らなかったでは済まされません。

このまま黙っておくわけにもいかず、勇気を出してお隣さんに事実をお伝えすることに。ドキドキしながら話したところ、意外にもお隣さんはとても穏やかでした。

「そんなに気にしなくてもいいですよ、屋根は壊さなくて大丈夫です」

その一言に、胸をなでおろしました。長年の不安が一気に軽くなったようで、「よかった〜!」と夫婦で安堵。

……しかし、喜びもつかの間。

お隣さんから次の提案がありました。「屋根のかかっている部分の土地は譲るので、その代わりにそちらの敷地の一部をいただけませんか?」

どうやら、お隣さんの駐車スペースが少し狭く、そこを広げたいとのこと。つまり、土地を『交換』するという提案です。

なるほど、筋は通っています。けれど、土地の一部を動かすとなれば、境界線のやり直しや再測量が必要。また新たな費用も発生するうえ、登記や名義の手続きも複雑です。

頭では「ここをきちんと整理しておくことが、将来の安心につながる」と分かっていても、心はどんより。『家づくりって、間取りやデザインの話だけじゃないんだなぁ』と、改めて実感しました。

それでも、ひとつずつ向き合っていくしかありません。幸い、話し合いの場では大きなトラブルにならず、互いに歩み寄れる空気も感じられました。測量士さんや司法書士さんにも相談しながら、きちんと手続きを進める予定です。

思いがけず深く入り込むことになった『土地の世界』

昔ながらの家を受け継ぐというのは、ただの家づくり以上に、家族やご近所、そして地域との関係性を見つめ直す機会なのかもしれません。

少しずつでも整理が進めば、また新しい一歩が踏み出せるはず。頭を抱えながらも、「これを乗り越えたら、きっといい家が建つ」と信じて、前に進んでいきたいと思います。

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